カラーやパーマをしない人はいくらでもいますが「カット」をしない人はいません

そしてヘアスタイルの土台になるものですので、美容師という職業ではもっとも重要な技術であると言えるでしょう

よく勘違いされていることですがカットで髪質を変えたり、ウネり、ハネなどをなくすことはできません

しかし雑、下手くそなカットは髪質や悩みを悪化させますし、ヘアスタイルそのものがブサイクになり、もはやヘアスタイルと呼べないモノになってしまいます

なので当店ではカットをもっとも重要な技術と位置づけ、こだわっているのです。

現代日本カットの生みの親「萩原宗」から学んだ本物のカット

今では当たり前になった「ハサミで髪を切る」という行為ですが、実は1960年代頃からはじまったことです

ヴィダル・サスーンというイギリス人が最初にハサミでカットを始めた人なんですが、現代のカットはここから始まったと言えます

もちろん日本の美容師もこの流れに続くわけですが、その流れにいち早く乗ったのが萩原宗という日本人(ちなみに日本人初のパリコレモデルを担当した日本人初のヘアメイクアーティストでもあります)

彼が日本に「ハサミで髪を切る」という考えを持ちこんだのです

当店のオーナー長藤はその萩原宗からカットを学びました

だからスゴいというわけではもちろんありませんが、本物のカットを学んだというのは事実ですし、現代のカットがかなり雑な形に変化していっているなあという思いもあります

流行りを追うのも重要ですが、それは基礎やベーシックがあってこそなのは言うまでもありません。基礎やベーシックのない流行りなんて「どこかおかしい、どこかイビツ、どこかダサイ」ものです

洗練された美しいヘアスタイルは圧倒的なベーシックがあってこそなのです

そういった意味で当店のカットはクラシックなものを目指しています。

ウォッシュ&ドライ

ウォッシュ&ドライとはそのまんま洗って乾かすという意味です。そしてみなさんが最も求めているものでもあるでしょう

「スタイリングできないんで簡単にまとまるようにしてください」というのは美容師であれば毎日言われることですから、いかに皆さんがウォッシュ&ドライを求めているかということでもあります

ハッキリ言いますが、どんな髪質でもウォッシュ&ドライでいい感じのヘアスタイルになることはありません

ウォッシュ&ドライで美しいヘアスタイルになるのは「髪質などの素材が良い人」だけです。ほぼすべての日本人はしっかりスタイリングしないと美しいヘアスタイルにはなりません

とくに皆さんが憧れる雑誌やSNSにあるスタイルはウォッシュ&ドライだけで出来上がるものではないです

「乾かすだけでこうなります!」という文章が添えられていることもありますが、それはウソです。写真なんてそんなものです

裏では百戦錬磨の美容師がブローしてアイロンしてスタイリング剤をキメキメに塗りたくり、風が吹かないイチオシの撮影場所でファッション、年齢、若さ、モデルの顔などを利用して1つの「作品」にしているものです。実はもはやヘアスタイルではないんですよ

ですので、当店では「乾かすだけで楽に決まるようにカットしますね!」なんて物理的にありえない事は言いません(そんな事ができたら神様です)

しかしながら、髪質の限界は超えれませんが限りなくそうなれるようなカットを提供しています

当店のブログやSNSなどにあるヘアスタイル写真は実際、あまりセットしていません。乾かしてスタイリング剤を軽くつけてるだけでアイロンなどもしていません。

「すく」という行為について

カットにおいて「すく」というのはよくやり玉に上げられるものです

しかし美容師もはもちろん、一般の人も「すく」の意味や行為がどういうものかを全く理解していません。言葉だけが安易に使われているわけですね

そもそもカットに「すく」という行為やテクニックはありません。カットというものは「髪を切る」だけのことです

しいて細かく言うのなら毛先を切るか、毛先以外の部分(例えば中間部分や根元付近など)を切るかくらいでしょう

そしてどこをどう切るか?というのは、目指すヘアスタイルと髪そのものや頭蓋骨などの素材で決まります

なので美容室でよくある会話である「どれぐらいすきますか?」というのは全く持っておかしいのです。ヘアスタイルが決まればどれぐらいの毛を切らなないといけないのかが決まるわけですから。

 

簡単に言ってしまえば、

・大量に毛がなくなってほしい(すいてほしい)のならそういった髪型を選ぶべき
・できる限り毛がなくなってほしくない(すかないでほしい)のならそういった髪型を選ぶべき

ということになります

もう少し例を出すと「ウルフカットにしたいけどすかないで」とか「軽やかで動きがある丸っこいボブにしたいけどすかないで」というのはおかしいのです。なぜなら切る部分が多いヘアスタイルだからです

「ウルフカットにしたいけどすかないで」という言葉を真に受けてカットしたらどうなるか?それはキノコやスフィンクスのようなヘアスタイルです。

 

もちろん、毛の量が少ない人であれば切る部分も減ります

しかし日本人のほとんどが毛が多いですから、大体のヘアスタイルにおいて世間で言われている「すく」という行為の重要度は高いのです(私のカットにすくというテクニックはありませんが)

繰り返しますが、カットでどれくらいの毛が床に落ちるのか?というのは「ヘアスタイルと素材(髪質と頭蓋骨)」で決まるのです

当店では「すく量はどうしますか?」なんて聞きません

たくさん切る部分があればたくさん切ることになりますし、切る部分が少ないのであればちょっとしか切りません

こうやって文章にしてみれば何も難しいことではなく当たり前のことではないでしょうか?そりゃあそうでしょうよという話です。

 

ちなみによくある「すいたから広がった」というのはそんな訳ありません

そういう髪質はすく前から広がっています。全くすいていない状態で髪の毛が密集し、動かなくなっているからそう感じるのです

髪を密集させれば広がりにくくなるのかもしれませんが、それはヘアスタイルにはなりません

うどんの束みたいになってエアリーな動きは一切出ませんし、だいたいはスフィンクスになっています。そういった自覚が本人にないだけです

もちろんそれが自分にとってベストであれば、それは1つの選択ではあります

しかし決して美しいヘアスタイルではないと、私個人の美の基準では思います。

ウェットカット&ドライカット

正直なところ、個人的にはどうでもいいのですが気になる方もいたり、宣伝文句でよく言われることなので触れておきたいと思います

当店では濡れている状態でカットもしますし、乾いている状態でカットもします

状況によって変わりますが基本的にはどちらも行います。その理由は私がその方がカットしやすいからです。ただそれだけのことです

(後は経営的な事情もあります。3時間かけてカット料金3万円で良いのであればドライで30分ほどかけてアイロンしてから切りますがあまり現実的ではありませんよね)

「ドライカットだから再現性が良い!」などという宣伝文句が2000年初頭にありましたが、私は全く何を言っているのか意味がわかりませんでした

別にドライで切っても再現性やクオリティが上がる魔法がかるわけではありません

実際のところは宣伝文句として耳障りが良いからそう言っていただけなのです

ドライで切るのであれば「ドライでしかできない切り方をするべき」なのですが、行われていたのはただ乾かして切るだけのドライカットなのですから。

それだったら切りやすいウェットで切ればいいですし、その方がキレイに切れます

ドライカットに限った話ではなく、すきバサミはどうのこうとか、レザーはどうのこうとか、内巻きになるカットどうのなども同じことです

耳障りが良いだけでそういった事が言われているだけで、本質的な理解をしてる美容師は少ないものです

理解している美容師は僕が知っている範囲ではいちいち「◯◯になるカット」とか言いません

カットというのは実に地味なものであり「どうやって髪の毛を重ねていくか?」というシンプルなものです。考えるのはそれだけでいいのです

ドライカットだからどうちゃらとか、内巻きになるカットですなどといちいち言う必要はないのです。そんなものはありもしないのですから。

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